2001年7月14日(土) 遍路18日目
元には戻れない
晴のち雨
 
 朝6時に宿を出発。1時間くらい歩いていたら向かいからバシッと決めた遍路が歩いて来た。30代くらい男性。菅笠というか中華なべをひっくり返したような帽子に黒い薄い布をまとっている。まさに坊さんだ。その人に挨拶すると、向こうは右手を正面に持ってきて会釈して通過。かっこいいなぁ。荷物が多いから野宿なのかなと思いつつ振り返って見る。

 大洲の街中を過ぎ川を渡ったところで50代後半のおじさんにお接待していただく。向かいからバイクBenlyに乗ってやって来た。僕を見ると道の端に止めて話し掛けてきた。おじさんは仏様の仕事をしているそうだ。石屋かな?とか考える。四国を手足の指の数以上に回ったそうだ。もちろん、区切りで車を使って。遍路を見かけるとお接待しているそうである。僕には真似ができそうもない。お金を人にあげるなんて出来ない。おじさんに百数十円頂く。そして、おもむろに千円札を1枚くれた。どうしようと思うが頂く。若いのにとも言われぐっとくる。体に気を付けて回って下さいと言われ、気が付くと20分くらい話していた。国道沿いの狭い所でお互いよく話したものだ。おじさんと話したことにより気分的に元気になる。有り難い事だ。
 番外第8番札所十夜ヶ橋[とよがばし]永徳寺[えいとくじ]。この周辺は地図では寂びれているとにらんでいたが大きなショッピングセンターがいくつもある。栄えている。通宿があると聞いていたが時間が早いため泊めてもらえないだろう。通宿に泊まってみたいなと思いながら歩く。宿坊にも泊まってみたいな。
竹林 
 JR五十崎駅[いかざきえき]の近くから山道に入る。これが失敗。最悪。暑い。下が芝と土で日差しがもろに自分に降り注ぐ。下から水蒸気が上がってきて蒸し暑い。日を遮る木が生い茂っていないので虫は少ないが暑い。ふらふら歩きながら竹林の日陰で休む。誰もいないのでだらしなくアスファルトに寝そべる。見上げると竹林の緑が美しい。写真を撮る。
 
 これまでこんなふうに時間を過ごしたことがなかった。こんな生き方もあるのか。これだけで生きていけるのかどうかはわからないが。
 15時くらいから雨。右足首がちょっとおかしいが歩けないわけではない。ふらふら歩きながら食料を仕入れるためお店を探す。田舎の個人商店ではパンなど種類が少ないので残念だ。クッキー賞味期限切れという目にあっているので油断はしない。個人商店で夕食用のパンを買う。商店のおばさんに冷やしたプチトマトを10個くらいお接待。店から出て1分もしないうちに全部なくなっていた。個人商店でこの先の千人宿記念大師堂に無料で泊まれるという情報をゲット。参考書の地図を見ると確かに泊まれるらしい。通宿とやらかもしれない、期待に膨らみながら歩く。16時30分ごろ到着。

 併設されている家の人に声を掛ける。うどん屋だ。うどんの麺を作るお店だ。それに個人商店もやっている。話し方がつっけんどんだったのかちょっと反応が悪い。お堂、8畳間くらいの大きさ。布団も電気もある。もちろん、壁も屋根も戸もある。うれしい。雨が降っているのでお堂から外を眺めて、明日の天気を予想してみようとする。結論は出ない。17時前に雨が止んだ。犬を飼っていてお堂の隣に犬がいる。僕は犬が嫌いだ。お堂に引っ込み、蚊取り線香を点け、カッパを軒下に干して、パンを食べる。宿泊帳があるので読む。色々な事が書いてある。誰かと一緒に泊まれたら楽しかったかな。特に何日か前の書き込みが楽しそうだ。僕も書き込みをする。

 夜、おばあさんがうどんをお接待してくれた。温かいのがうれしい。食事にこだわらない僕だがまともなご飯が食べれるとうれしい。ありがたいことだ。おじいさんが来て少し話をする。雨が降ってなければ川が綺麗なので洗濯や水浴びができたそうだ。今日は茶色に濁っていて入れそうにもない。悲しいかな、汚いのには慣れてしまって全然気にならない。布団を汚してはまずいと思い、社会復帰用の服?に着替えて寝る。人と触れ合うのがうれしい。

 夜遅く目が覚めて向かいの販売機でジュースを飲む。深夜、飲むのは体に悪そうだが味が付いた物が飲みたかった。

7月13日遍路17日目へ  7月15日遍路19日目へ
 
四国へ行こうindexへ


SEO対策 ショッピングカート レンタルサーバー /テキスト広告 アクセス解析 無料ホームページ 掲示板 ブログ