2001年7月4日(水) 遍路8日目
野宿の現場を見る
 
 朝食に残りのレーズンパンを食べる。食べると歩くパワーが出ると感じるからすごい。

 山を行く道と海岸線を行く道がある。ここは山を行くことにする。山と言っても畑があり、そんなに森ではない。道が山道なだけ。下っていると前からおばあさんが二人登って来た。畑仕事をするスタイルだ。なんと、さつまいものてんぷらをお接待で頂く。おばあさんの朝食を取り上げてしまったようで申し訳無い。もらった後、油ものは時間が経つとお腹に悪いので断れば良かったかなと思う。

 山から下り、少し進むと弘法大師霊跡[こうぼうだいしりょうあと?]がある。海側の少し下がった所に砂利の小さな広場が有る。そこに、テントを片付けている男性遍路が一人見える。これまで歩いて来て野宿しているのを見たのは初めてだ。野宿の準備?をしているチックなのは見たけど生活感溢れた野宿を見てうれしくなった。挨拶をして、話をする。水があるとのことでそこへ向かう。道をはさんだ山側に水があふれていた。朝から顔も洗わずに歩いていたため顔を洗う。そうしているうちに野宿の男性は出発の準備が出来たようだ。自然と一緒に歩く。

 この人は大阪から来た35歳くらいの男性。会社を辞めたので歩いて回りに来たそうだ。若い(20代から40代くらい)人は実にこういった人が多い。まぁ当然だろう。平日に四国を通して歩ける人はそうはいない。お互い深いことは聞かないのがマナーだろうか。まぁ知りたいのなら聞いてみるのも良いかもしれない。僕は名前を聞かなかった。

 今朝、会った場所でもう二張テントが有ったそうだ。僕は手前から来たので時間が経ってしまって見れなかった。一つは大阪から来た20代の男性。もう一つは「おぼうさん」と言っていた。僕もテントが欲しくなる。

 第27番札所神峯寺[こうのみねじ]は山の上にある。この道が曲者。なぜなら登った道をまた降りなくてはならない。そのため、登り始めた所の民家に声をかけて庭先に荷物を置かせてもらった。頭陀袋にペットボトルと納経帳を入れて登る。途中で「おぼうさん」と呼んでいた人と出会った。70歳を超えたおじいさんだ。おぼうさんの格好?をきちんとしていないのでなんでおぼうさんなんだろう?大きなリュックを背負っている。リュックは高そうなしっかりしたものだ。やはり道具に金をかけるのは当たり前のようだ。一緒に歩いている男性も靴やリュックを四国を回るのに買ったそうだ。僕の靴はスーパーで売っている1980円。リュックは人にもらった1000円くらいのもの。

 3分の2くらい登るとトイレが見えた。その前がちょっとした休憩所になっているので休む。水も有る。テントがあればこういったところで野宿できるのだろう。

 神峯寺に到着。ここで、朝テントを張っていたという若い男性に会う。リュックを背負ってここまで登って来ていた。もう一人、20歳くらい女性の歩き遍路にも会った。この人も大阪から来たそうだ。なんだか大阪の人が多い。そうこうしているうちに「おぼうさん」も登って来た。どうやらどこかにリュックを置いてきたようだ。女性遍路が、写真を撮らせて欲しいとのことで、お坊さん、35歳くらいの男性、僕のショットを撮る。そうしたら、若い男性のほうも一眼レフのカメラを取り出しパチリ。この人は宿じゃお金かかりすぎるから釣具屋で1980円のテントを買って野宿して回るそうだ。若い女性のほうもそれを聞いてテントが欲しいと言っていた。いろんな遍路がいて、話していると楽しい。

 このお寺には名水100選?がありペットボトルがぼったくり値段で売っていた。僕はペットボトルを持っていたので水を補給。冷たくて水が気持ち良い。水は無料。

本堂と大師堂は階段を登った先にある。おばあさんやおじいさんには辛そうだ。僕も登るのが辛かった。手すりを持って上り下りをした。

 写真を撮られた3人でふらふら山を下る。20代の歩き遍路が銀マットを持って登ってきた。挨拶をして別れる。多くの人と出会う日だ。

 35歳くらいの男性は歩くのが早い。一昨日は室戸岬で野宿したときの事を話してくれた。室戸岬は岩だらけらしい。夜中、ごそごそ音がするのでテントから外を見たら亀がいたそうだ。一晩中ごそごそしていて眠れなかったとかテントは蒸し暑かったとかいろいろ話す。そうしているうちに荷物を置いた民家に到着。そこから2kmくらい一緒に歩くが僕がへたれて離脱。おぼうさんと男性は先に行く。この男性とはこの先、会うことは出来るのか。話して楽しい人だ。

 疲れて日陰で休む。おばさんが現われて「足が痛かったら、風呂で水とお湯を交互にざぶざぶかけなさい」と教えていただく。今日は野宿の人たちと出会ったので野宿しようと思う。宿に泊まったときにやってみよう。

 自転車専用道路を行く。が、入り口は工事中で途中から専用道路に入る。もちろん自動販売機は無いし日陰もほとんどない。暑い。

 夕食はまともなものを食べようとうどん屋に行く。このうどん屋は6月27日に開店したそうだ。うまかった。お接待でメロンをいただいてしまった。開店して間も無いのに気が引けた。

 辺りは真っ暗。腕時計を持っていないので時間は不明だが20時は過ぎているようだ。バス停が見えてきたのでそこにしようかな。でも、と思ってバス停を通過。すぐに前方から男性がやってきて「今日はどこに泊まるの?」と聞いて来た。この人、荷物を持っていない。服は薄汚れて野宿の人のようだ。遍路には見えない。こじきにしてはきれいなようだ。怪しいと僕の第六感がエマージャンシを発した。そのため、「何処かで野宿します。」とごまかした。男性はそのまま、バス停に入って行った。何だったのだろう。

 体力も時間も限界に達しようとしていたとき次のバス停が見えた。もうここに決定。レストラン柿の木、道向かいの西寄バス停。食事処が明るい。バス停なので車の音がうるさい。海の傍なので波の音が聞こえる。しかし、無料で屋根、壁、ベンチがあるので贅沢は言えない。水があると最高なのだが仕方が無い。蚊取り線香をつけ、銀マットの上に転がり爆睡。
 夜中、またしても起きてしまう。トラックの音と波の音がする。店の明かりは消えていた。蚊はそれほどいないようだ。寝よう。

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