2001年6月28日(木) 遍路2日目
第12番焼山寺からの途中、大雨
晴、雨、曇
 
 朝4時過ぎ、近所のおばさんが神社の水道を使ってバケツに水を汲む音で目覚める。自分の家の水道使え。すねが痒い。あせもが出来ている。靴下の生地が厚いので蒸れたようだ。足にまめがいくつもできているのでテーピングを貼る。寝袋で寝たので全身汗だく。蚊に刺されるよりはましか。

 朝7時、第11番札所藤井寺[ふじいでら]で納経。納経の時間は朝7時から夕方17時まで、1分も無駄にできない。藤井寺の手前の廃屋が非常に雰囲気を暗くしている。この廃屋を取り壊して駐車場にしたほう良い。もう少しましになるだろう。

 藤井寺の横から山道が続いている。山に入る前に水の補給を行う。500mlのペットボトル2本に水を入れようとするが蛇口が見当たらずにトイレの手洗い用の水で補給。

 この山道は難所と言われるだけあってこの登りが延々とあるのでつらい。登って少しすると車道を横切る。このとき正面で、農家のおじさんがベンチに座ってタバコをふかしている。隣のベンチには犬が2匹つながれていて休む気になれずそのまま通過。犬は嫌いだ。

 休憩所(東屋のみ)が見えてそこで一息入れる。気がつくと水がわずかしか残っていない。あっという間に飲んでしまったようだ。休憩所の目の前に果樹園が広がっていて人間はどこにでもいることを思い知る。地図を見て、この先の長戸庵[ちょうどあん]に水がなかったら干上がるな。水場はあるだろうか。考えても仕方ないのでしばらくして再び歩く。

 おばさん2人が元気に前からやってきた。この2人はいったいどこから歩いてきたのだろうか。そして、「がんばって」の一言がうれしい。それに、山道にぶら下がっている札の「あと一息がんばって」の言葉も本当にうれしい。

 長戸庵の手前の山道に涌き水発見。手持ちの水も無くなっていたので飲みまくる。冷たい!!ペットボトルにも補給する。ここの看板には「この先、柳水庵[りゅうすいあん]まで水はありません」と書いてあるが、果たしてこの水は飲んで大丈夫なのか書いていないのがナイスだ。

 登りの辛い時には、消極的なことばかり考えてしまう。どうしてこんな所に来たのか?、下って帰ろうか、自転車を買って回ろうかなど。それが、ちょっとした下りになると行けるんじゃないのか?このまま歩けるなとなってしまう。
 
四国のみちと枯れ枝の金剛杖
 
 長戸庵にあった四国のみちの看板。左側に枯れ枝の杖が立てかけてあるのがわかるだろうか。これを見て、この杖いただいて山道を行く。杖は平地では邪魔だと思って買わなかった。こうして、その辺の木を使えば良いのか。この杖で20mほど歩いたがあまりにも重い。すぐに捨てて新しいMy金剛くんを製作。軽くて折れないのが良い。ここで作った金剛杖はこの日ずっと持って歩いた。後日の情報だが人の金剛杖は貰ってはいけないそうだ。

 柳水庵に10時到着。乾燥機が300円とあり一瞬使いたいと思うがやめる。ここは、水が溢れている。頭に浴びて、もういらねぇってくらい水を飲みまくる。ペットボトルいっぱいにして休憩。ここのおばあさんにお接待でお菓子をいただく。納め札を要求されたので、お接待してもらったら納め札を渡すことを知る。

 もうちょっとで第12番札所焼山寺[しょうさんじ]に着くと思われるとき、上から中年の夫婦が降りて来た。この人達は第11番札所藤井寺に車を置いてこの山道を往復しているのだそうだ。僕にはそんなことはとてもできそうもない。世の中いろいろな人がいる。

 やっと、焼山寺が見えてきた(参道が見ただけ)。この参道がえらく長く参った。

 焼山寺から次へ向かう山中、雨が降って来た。玉ヶ峠の山道では、どしゃ降り。精神的にかなりへこむ。下を見ると白いカニがうようよいる。世の中こんなカニもいるんだなぁ。My金剛くんを突き突き山道を登る。老眼鏡?が落ちていたり、タオルが落ちている。意識が一瞬遠のき、道から転げそうになるがMy金剛くんのおかげで落ちずに済んだ。杖持っていて良かった。無事に玉ヶ峠の庵に16時30分に到着。水道があったので白衣をちょっと洗濯。庵の鍵が開いていたのでここで野宿?してしまおうかと思うが進まなくてはならない。自分に言い聞かせ先を目指す。

 ここからは、舗装された道路を延々下る。登りよりも下りのほうが足に負担がかかるようだ。下るにつれて雨が止んで来た。降っていたのは山間部だけだったらしい。

 川を渡り、また少し登ったところに神社?(あばら家)を発見。戸は無く、屋根、壁3面のみ。ここで野宿しようかと思案する。たぶん許可なんて要らないだろう。近くに人も住んでいないし。しかし、距離が許さない。目標は30日。なんとしてもそれは守りたい。そのため、小休止して先に進む。

 19時を過ぎ薄暗くなってきた。車のおばちゃんが「どこまで?乗ってく?」と言われるが、野宿のできるとこまで、とは言えず丁寧にお断りする。暗くなってまた、車のおじさんが「(暗くて)危ないから、乗ってきなさい」とありがたい言葉をいただく。しかし、またしてもお断りしてしまう。暗くなって歩いていると車のお接待があるようだ。目的地もなくただ漠然と歩いている自分はどこへ行けば良いのかも定まっていないので相手に多大な心配をさせてしまっている。19時までには野宿の場所を決めたほうが良さそうだ。

 昨日の教訓から、商店の軒先を借りようと商店に入る。すると、野宿する場所を提供してくれる人を紹介していただいてしまう。土建屋をやっている人でそこのおじいさんが遍路に対して昔から倉庫を接待していたそうだ。孫夫婦(30代後半くらい)、こんな遅い時間(21時くらい)でも迷惑がらずに倉庫まで案内していただく。戸はないけど、屋根、壁、水がある。すばらしい。しかも、畑にあるびわとすいかまでいただく。疲れたけどここまで歩いてきて本当に良かった。恐縮してありがとうございますを連発してしまう。弘法大師って偉大だなと思い知らされた。

 遅い時間、すぐ近くで犬の吠える声で目が覚める。やばい、食われるか?と思ってそのまま固まってやり過ごそうとする。しかし、また吠えて、頭のそばをうろうろするので寝袋の中からもぞもぞ動く。すると、犬がびびって逃げて行ってしまった。助かった。わーい、肉だーと思われてかじられたのではたまらない。野良犬だったのだろうか。

 夜半、雨が降ったりやんだりしている。

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