2001年7月26日(木) 遍路30日目
帰るべきところ
 
 鶏の鳴く声で起きる。5時15分。眠い、ちょっとだるいのはいつもどおり。パンを食べて出発する。

 すぐに道を間違える。遍路道のシールが間違っている。だまされた。気を取り直して進む。最後だ。落ち着いて行こう。

 JR高徳線[こうとくせん]讃岐相生[さぬきあいおい]駅の前を通過。人に聞いていたとおり駅の近くにお店が無い。ジュースの自動販売機があるだけだ。野宿する場合は食料を調達してからここに来ると良いだろう。この先で「四国のみち」に行かないで海沿いの道を進む。折野を経由して「卯辰越」[うたつごえ?]することにする。

 この先で徳島県に戻るありがとう香川県、戻ってきました徳島県。
卯辰越
 写真の道をまっすぐ進む。この山々の間を抜けて帰る。

 くねくねした道を登っていく。道は良いのに車はほとんど通らない。カーブに犬が2匹いる。1匹がひどく吠えて近づいてきた。やばい襲われる。走って逃げても犬を刺激するだけなので平然と過ぎようとする。いざというときの心構えはしておく。カーブを過ぎて10mほど行くと犬はカーブに戻っていった。ここが彼らの領域なのだ。あんな犬は車に轢かれるか、保健所に収容されてしまったほうが良い。危ない。犬は嫌いだ。なんだか猛烈に腹が立ったので、離れたところから犬の鳴き声を真似してひどく吠えて見せた。するとカーブにいた犬がびびっている。弱虫な犬だ。その吠えている僕をジョギングしている男性に見られてしまった。こんなところでジョギングする人もすごいが吠えていた僕はひどくへこんだ。余計なことをしたようだ。

 山のコンクリートの壁に落書きがしてある。自転車で回っている人が書いたようだ。こういう落書きが幾つかこれまで見てきた。マジックで書くのではなく苔を剥がして書いてあったり土で書いてあったりしてあるものばかりだ。これくらいなら許せるだろう。

 大麻比古神社の鳥居が見えてきた。ここでトイレ休憩をして進む。すると、第1番札所霊山寺はすぐだった。本当にすぐそばだ。霊山寺の裏手がすぐに神社。初日には意識していなかったため鳥居を見ることは無かったが鳥居もすぐ見える。

 12時前に第1番札所霊山寺に到着。納経していただく。そして、お茶とお菓子をお接待していただいた。まっさらな白装束を着た若い女性の遍路が汚いものを見る目で僕を見ている。確かに汚い。しかし、あなたも回れば分かるだろう。汗だくになって歩くとどうなるか。回るとどうなるか。そして、無事に回って欲しいと思う。

 自分が歩いて来た道が輪となった。終わってみてあっという間だった。夢中で歩いた。お大師様が四国の人々にどれだけ敬われているのかを感じた。

 社会復帰しなくてはならないため銭湯の場所を教わる。歩いて1時間くらいかかる場所。これは汚くても仕方なく電車に乗って徳島駅に行き、そこで銭湯に入ったほうが良いだろう。徳島駅前は都会で恥ずかしいがそのほうが楽。銭湯の最寄駅は下の写真の阿波川端駅。銭湯に入りさっぱりした後、着替えをして(半袖、半ズボン)駅に行った。ここに着くまで30分くらいかかった。
阿波川端駅
 
 JR高徳線阿波川端駅[あわかわばたえき]のホームで写真を撮る。時刻表を見たら次の電車が17時01分。1時間10分以上待たなくてはならない。ヒマー。隣の板東駅まで歩こうかと思ったがせっかく風呂に入ってまた汗をかくことも嫌なので、そのまま待合室で待つ。あまりの暇さ加減に写真を撮る。

 思いついて、家を出て初めて電話をする。
「明日帰る」
「ん、・・・」
「何かある?」
「何もねぇ」
電話終了。短いやり取りだった。
 銭湯に行き髭も剃ってさっぱりした。長ズボンはぼろぼろなので捨ててしまった。半ズボンでは恥ずかしいので徳島駅前のユニクロで長ズボンを買った。高速バスは徳島駅前から出るので駅のベンチで時間をつぶす。これで僕は家に帰るのだ。

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