2001年7月19日(木) 遍路23日目
野宿へ
 
 古い靴を部屋のごみ箱に捨てるのは気が咎める。新しい靴を履き、古いのはすぐに捨てられるようビニール袋に入れ出発。途中のごみ箱に靴を捨ててすっきり。新しい靴は良い感じだ。このまままっすぐ行ってもよかったのだが、JRの線路をすぐに横切り遍路道へ復帰。

 郊外に出るとカブに乗ったおじさんが200円お接待。ありがいたい。小学生、中学生が挨拶してくれる。水も無くなり自販機を探すがなかなか見るからない。やっと見つけて予備で一本追加して買う。山で水がないとヤバイから。

 向かいから自転車に乗った遍路がやってくる。自転車で登ったのだろうか。進むとどんどん人の気配が無くなり水の補給が出来そうも無い。しかし、八幡神社手前に平和の水と名づけられた水が流れている。補給、がぶ飲み。最後の集落を行くと山の登り口に到着。看板がでかでかと掲げられており「一人じゃヤバイよ、遭難しちゃうよ、だから一人で行くのはやめようね」要約するとこんなことが書いてある。難所とは聞いて来たけどそんなにヤバイのか。でも、僕一人だしね。2日目の山に比べれば大丈夫じゃないかな(超希望的観測)。しかも、舗装した道路がまだまだ続いているので説得力に欠ける。不安になったが行く事にする。誰も来ない道だろうと思っていたが、ところがどっこい車が通る。この先で何をしているのだろう。

 四国のみち休憩所に着く。ここにはトイレと水とベンチ、テーブルがある。テントなしだとトイレで寝ることになりそうだ(東屋なし)。先ほどの答えがわかった。水だ。ここで水を汲んでいくのだ。おばさん2人、おじさん1人いて水を汲んでいた。おいしいと評判の水だそうだ。あの水桶の中に頭を突っ込みたい、でも人いるからな。ベンチに座って道の検討をする振りをして待つ。おばさんが文明堂銀座プリン、とろける水羊羹をお接待。甘いものがうれしい。しばらくして水を汲む人がいなくなったので先ほどの思いをとげる。涌き水は冷たくて気持ち良い。ペットボトルの水も入れ替える。一息つき、さっきいただいたプリンを食べる。うまい。

 この舗装道路はきれいで道幅もありまだまだ先に続いている。いったいどこに行くのだろうか。遍路はここから山道を登って行く。山道は良く整備されており全然危なくない。怪我人が多く出た?ので整備したのかもしれない。難所でもなくあっさりと第60番札所横峰寺[よこみねじ]に到着。朝からずっと曇っているため石鎚山が見えない。装備もしっかりしたものを持っていないし、これまで天気も悪かったので石鎚山に登ることはあきらめる。また、来れば良い。

 横峰寺の下りは足に負担が大きい。しかし、昨日買った靴は大ヒット。かかとが全然痛くならない。防水の恩恵はまだ受けていないが足が蒸れない(前のも蒸れなかったのだが)。足が快調。高い靴ってすばらしい。途中木が倒れて道をふさいでいた。誰かが枝をどけた後がある。さすがに幹は動かせないので、ここらへんを歩いたなというのがわかる。なんとなくうれしくなる。また、道の真中に犬か動物の糞がある。犬を連れて歩く遍路もいるそうだが、もしそれならマナーは最悪だ。左側が絶壁のように切り込んだ道を歩くのもすごい。でも、すごいのはそこに植林をしている人。等間隔に並んだ木がそれを物語っている。

 第61番札所香園寺[こおおんじ]。バブリーな寺。バブリーではなく真性なリッチな寺。この寺はテレビで見て僕は知っていた。四国88ヶ所の何処かといだけで具体的なことは覚えていなかった。回ればきっと出会えるだろうと期待してきたけど目の前にするとやはりびっくり。お寺がコンクリで馬鹿でっかい。新興宗教のお堂のようだ。本堂と大師堂が階層によって作られており、これまでのお寺の概念をぶっ壊している。なかはプラネタリウムのように薄暗く椅子が並んでいる。こういう寺も面白いものだ。何故こんな立派なお寺に出来たのかという疑問はすぐに氷解した。子安大師と言われガキンチョにご利益があるのだ。僕がベンチで休んでいる間にも妊婦の家族や赤ん坊を抱えた夫婦が何組もいる。山の下りでくたびれたので長く休んでいたら一組の夫婦が来た。すでに、辺りには僕しかいない。いかにも「写真を撮ってくれませんか」という状況。案の定、来てしまった。立つのも億劫だったがあまりの幸せぶりに断るのは犯罪だ。赤ん坊を抱えた夫婦を撮る。フラフラだったためブレたか?うまく写っていると良いのだが。

 第62番札所宝寿寺[ほうじゅじ]。第63番札所吉祥寺[きっしょうじ]。

 第64番札所前神寺[まえかみじ]。ここへ行く手前に石鎚神社の大きな鳥居がある。曇っていて石鎚山が見えない。石鎚温泉がすぐ目の前にあり素泊まりできる。どうしようか。目の前にローソンもあるし食料補給は問題なし。17時まであと20分なのでお参りしてから考えようと通過。すぐに向かいから歩き遍路の男性がやってくる。挨拶して行こうと思うが良い人で話が弾む。うれしくなっていろいろ話すと寝袋なし、テントなしでずっと野宿で回っているとのこと。年齢は30過ぎくらいだろうか。気がつくと時間がぎりぎりなのでそばのローソンで再開することを約束ししばし分かれる。

 お参りをしてローソンに戻る。ローソンの前で待っていてくれた。夕食を仕込む。この人が野宿して僕は宿に入る。そんなことではできない。誰かと野宿するのも楽しいだろう。ちょっと行ったところに四国のみち休憩所があり東屋がある。ここで一緒に寝ることにする。大阪から来たKさん。年齢は40過ぎだとわかった。若く見えてびっくり。年齢不祥の人が遍路には多い。歩きで3回目だそうだ。1度目は宿を使って一周し、2度目、3度目は連続して野宿しながら回っている。野宿ポイントの探し方やこれまでに会った人や物のことを話してくれる。オカリナお姉さんと言っていたテレビクルー付の遍路のことも教えてもらう。トイレの手洗いの水道から水を汲んでいたらそのお姉さんに飲むのかとびっくりされたらしい。そこで、水はどうしているのかと聞くと水のペットボトルを買って飲んでいるとのこと。スポンサーの偉大さを思い知る。これは年末に放映されるらしい。期待して待とう。

 暗くなる前、自転車の遍路がやって来た。僕ふうに言えばこの人もプロだ。この人は長野から来たKさん。托鉢しながらのんびり回っているとのこと。実際、1日20kmも進まないらしい。大阪のKさんとは以前、会っているようだ。

自転車kさん「年いくつだ?」
僕「23です」
自転車kさん「ふけてるな」

がびーん、痛い痛すぎる。ストレートパンチだ。話の流れで、カレーがなんとなく食べたいなぁと言ったらボンカレーをくれた。ついでにスプーンも貸してくれ至れり尽せり。ありがたいことだな。

 話は尽きないが暗くなったので3人で寝る。僕は銀マットだけは手放さなかったので野宿はできる。水の音が近くでして蚊がぶんぶん飛んでいる。蚊取り線香をいくつもたいているが余り効果がないようだ。

7月18日遍路22日目へ  7月20日遍路24日目へ
 
四国へ行こうindexへ


SEO対策 ショッピングカート レンタルサーバー /テキスト広告 アクセス解析 無料ホームページ 掲示板 ブログ